赤イ海ノ記憶・あとがき

三上の最後の言葉で何となく仄めかされていますが、ヒロインは元々人間ではなく、母胎が遣わした「鳩」です。

●ヒロインは原作の木船や喜代田のように今まで普通の人間として生活していて、未だ鳩としての意識が覚醒していない状態だった。それでもヒロインは同じ鳩である加奈江の記憶を僅かに引き継いでいた為三上を見守り、三上もまたヒロインに加奈江に通じるものを感じ取っていた。

●赤い海に三上が沈む夢は、冥府の門を開けさせる為に三上を異界に連れて来いという母胎の思念と、数十年前海に溶けた加奈江が三上を案じる思いが混ざり、それを鳩であるヒロインが幻視していたもの。

●ヒロインは赤い海に沈んでいく三上と加奈江を見て、自分が鳩であることを思い出し遂に覚醒する。覚醒後も三上を想う気持ちは変わらず、自分の姉妹でもある加奈江に三上を託した。

●ヒロインのいる世界では「三上の魂が解放されている」=「母胎が消滅している」ので鳩としての使命を果たす必要もないが、覚醒後は体調に変化が起こり、容姿も母胎の顔に変わっていく。今までの生活を続けられないことを悟ったヒロインは、心の整理を着ける為にも今まで暮らしていた場所を離れ、新たな人生を踏み出すという話。
原作の木船柳子も鳩として覚醒後、顔が変わったことで母親と別居し、偽名で生活するなど、鳩として生まれた運命は過酷だなと思います。


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