淳は乳母日傘で育ったイメージがあり、そういう環境を想定して書いた物語でした。
ただ、淳の場合過保護に育てられたといっても、両親は愛息子というより神代の婿として大事に育ててきたのではないかと思い、唯一の心の救いが使用人のヒロインであるという設定になりました。
淳は自分が世間知らずであることは分かっているので、ヒロインを連れて駆け落ちするのは、かえって彼女を不幸にすると考えたために道を踏み外すことはできませんでした。原作で記憶を取り戻した八尾の言いなりになっていたことから、彼は思い切って勇気を振り絞るタイプではなく、何事も決められた通り、穏便に済ますタイプだと思います。
最後にヒロインを愛したことは、家系に縛られている淳なりの、精一杯の愛情表現です。ただ、それは意気地なし、卑怯ともいえる愛し方だと思います。ただ、ヒロインはそういう淳の性格や、淳が抱えている事情も全て分かっていて、そうして彼を受け入れた優しい女性です。